学生時代、私は特に「じゃんけん」に弱いという特技を持っていたのですが、その甲斐あって入った研究室は、学生から最も人気の無かった研究室。そして1年生か2年生で受講した体育の授業は剣道でした。ちなみに一番人気は「テニス」。色々と役に立ちそうですしね(笑)。剣道・・・防具が臭うとかそんな話しばかりが耳に入り、幸せな未来を予感させないスポーツに思えたのですが、私は今、すごく懐かしくその講義を思い起こしています。
かなりのご高齢(90歳ぐらい?)の方が講師で、90分の講義の内60分がお話し。残りの30分で準備運動と剣道の練習(先生は「刀法の練習」と言ってましたが)、そして整理体操というメニューでした。格闘技の授業と言えば、高校の時の柔道の様に技を教えてもらって、それを繰り返し練習するというイメージを持っていましたので、非常に不思議なメニューに思えたのですが、私は意外に気に入ってました。経験豊富な方のお話しって貴重です。お話しの内容は、哲学的なものから、ノウハウ的なものまで。今でも覚えている話しはたくさんあります。もちろん剣道の師範ですから、厳しい面をお持ちで、防具が緩んでる等、だらしなかったり準備が足りない事には厳しく、私もよく叱られました。素振りの練習中に「面」を2発も入れられた学生は私ぐらいです(恥)。「どこ打っとる!面はここじゃぁ〜。」って感じで。さすがは師範、太刀筋は全く見切れませんでした・・・。しかし元気過ぎましたね、あのご老人は(笑)。
お話しの中で一つ「剣は押し斬り」というのがあります。剣道は元々競技スポーツではなく、武士の命がけの仕事だったわけですが、真剣の勝負では、いち早く相手の身体、特に首より上に刀を到達させた方が生き残ります。時代劇とか、試し切りでよくみる格好のいい「引き斬り」では遅い。相手に押し当てるように刀を走らせるのだそうです。理にかなってます。
・・・何でこんな事を今頃思い出したかって?・・・いや、実はピアノのレッスンなんですがね(笑)。どうも私は腕の使い方がマズイ様です。先生によると、ピアノも腕の使い方としては「上から下へ」だけでなく、手前から奥へ「押す」イメージが必要なんだそうです。打鍵した指の力を抜く事ができないと、なかなかこのイメージって持てないんですよね。腕は押すんだけど指は掴む・・・。あと「脇」をしめてはいけない。手首が持ち上がりすぎてはいけない。指も昔は立てて弾くのが主流だったけど、最近は微妙なコントロールができる様、寝かせて使う。その為には肘も上手く使ってやらなければならない・・・む・・・むずかしい・・・。これだけ複雑な動きを続けて練習していれば、剣道の師範並に、元気に長生きできそうではあります。「ノコギリは引き切り、剣は押し斬り、ピアノは・・・押し・・・弾きですか?」などというのん気な質問にも「面」が飛んで来ないのは救いですが、その内「コテ」ぐらいは飛んできそうな気がします(笑)。